【お茶屋が解説】水出し緑茶の作り方ガイド|苦味を抑えて旨味を引き出す黄金比とおすすめ茶葉
共有

暑い日に飲みたくなる、冷たい緑茶。手軽なペットボトルのお茶も便利ですが、自宅で水出し緑茶を作れば、茶葉の量や抽出時間を調整しながら、自分好みの味わいを楽しめます。
しかし、実際に作ってみると、「思ったより苦い」「味が薄くて物足りない」「茶葉をどれくらい入れればよいのかわからない」と悩む方も少なくありません。水出し緑茶を美味しく作るポイントは、茶葉と水の比率、抽出時間、茶葉の種類、そして保存方法です。
この記事では、水出し緑茶の基本的な作り方を、茶葉と水の目安から保存方法まで詳しく解説します。苦味や渋味を抑え、茶葉本来の甘味と旨味を楽しみやすくするコツに加え、ボトル、急須、氷を使った淹れ方や、水出しに適した茶葉と水の選び方もご紹介します。
いくつかのポイントを押さえるだけで、初めての方でも、まろやかで飲みやすい水出し緑茶を作れるようになります。毎日の水分補給に、作りたての水出し緑茶を取り入れてみませんか。
水出し緑茶の基本の作り方と茶葉の量!ボトルでじっくり抽出する手順
水出し緑茶は、冷水用のボトルやポットがあれば、家庭でも簡単に作れます。まずは、失敗しにくい基本の分量と作り方をご紹介します。
茶葉と水の基本的な比率
水出し緑茶の基本的な目安は、水1リットルに対して茶葉10~15グラムです。500ミリリットルのマイボトルで作る場合は、茶葉5~8グラム程度から試してみましょう。
最初は水1リットルに茶葉10グラム程度で作り、薄く感じる場合は茶葉を増やして調整するのがおすすめです。茶葉の種類や形状によっても、味や色の出方は異なります。
深蒸し煎茶や細かめの茶葉は、比較的短時間でも味や色が出やすい傾向があります。一方、形の大きな茶葉や浅蒸し煎茶は、茶葉を少し多めに使うか、抽出時間を長めにすると味が整いやすくなります。
大さじは茶葉の形状によって入る重量が変わるため、できればキッチンスケールで量ると、毎回安定した味に仕上げやすくなります。
抽出時間の目安
清潔なボトルやポットに茶葉と水を入れ、冷蔵庫で3~6時間ほど抽出します。朝に仕込んでおけば、お昼頃には水出し緑茶を楽しめます。
濃い味わいが好みの場合は、茶葉の量を少し増やすか、抽出時間を長くして調整してください。一晩かけて抽出する場合も、必ず冷蔵庫の中で保管しましょう。
長く抽出すれば必ず美味しくなるわけではありません。茶葉によっては、長時間入れたままにすると渋味や雑味を感じることがあるため、途中で味を確認するのがおすすめです。
抽出後の茶葉の取り扱い
好みの濃さになったら、茶葉やティーバッグを取り出しましょう。茶葉を長時間入れたままにすると、茶葉の種類によっては渋味や雑味が出やすくなります。
フィルター付きボトルを使う場合も、完成後は茶葉とお茶を分けておくと、味が変化しにくくなります。ティーバッグを使用する場合は、清潔なトングや箸などで取り出してください。
保管と飲む前の準備
完成した水出し緑茶は、そのまま冷蔵庫で保管します。別の容器へ移し替える必要はありませんが、使用するボトルやポットは、あらかじめよく洗った清潔なものを使用してください。
深蒸し煎茶など細かな茶葉を使用すると、ボトルの底に細かな茶葉の粒子が沈むことがあります。飲む前にボトルをゆっくり数回回すと、色や味が均一になりやすくなります。
強く振ると泡立つことがあるため、軽く回す程度で十分です。なお、底に沈んでいるものは、主に細かな茶葉の粒子であり、旨味成分そのものが沈殿しているわけではありません。
茶葉の量、抽出時間、冷蔵保存の3つを意識すれば、初めての方でも、まろやかで飲みやすい水出し緑茶を作れます。
なぜ水出し緑茶はまろやか?低温抽出で味が変わる理由
水出し緑茶がお湯で淹れた緑茶と比べて、渋味や苦味が穏やかに感じられることがあるのは、抽出温度によって緑茶成分の溶け出し方が変わるためです。
成分ごとの特徴を知ると、茶葉や淹れ方を選ぶ際にも役立ちます。
温度による成分の溶け出し方の違い
緑茶の渋味に関係するカテキンや、苦味に関係するカフェインは、温度が高いほど溶け出しやすくなります。
冷たい水で時間をかけて抽出すると、お湯で淹れた場合と比べて、渋味の強いカテキンやカフェインの溶出が抑えられます。そのため、水出し緑茶は苦味や渋味が穏やかで、まろやかな味わいに仕上がりやすくなります。
ただし、水出しにしてもカテキンやカフェインが含まれなくなるわけではありません。
旨味成分を感じやすい低温抽出
緑茶には、テアニンをはじめとするアミノ酸が含まれています。これらは緑茶の旨味や甘味に関係する成分で、低温でも比較的溶け出しやすい特徴があります。
水出しでは苦味や渋味が穏やかになるため、茶葉が持つ旨味や甘味を感じやすくなります。
特に、玉露、かぶせ茶、上級煎茶など、旨味の豊かな茶葉は、低い温度でじっくり淹れることで、それぞれの特徴を楽しみやすくなります。
EGCとEGCGの違い
緑茶に含まれる代表的なカテキンには、エピガロカテキンのEGCと、エピガロカテキンガレートのEGCGがあります。
EGCとEGCGは、抽出方法によって一方からもう一方へ変化するものではなく、もともと茶葉に含まれている異なる成分です。
低温では、渋味の強いEGCGが比較的溶け出しにくくなります。そのため、水出ししたお茶では、お湯で淹れた場合と比べて、渋味の弱いEGCの割合が相対的に高くなることがあります。
こうした成分の溶け出し方の違いも、水出し緑茶がまろやかに感じられる理由のひとつです。
初心者でも作りやすい水出し緑茶
水出し緑茶は、お湯の温度を細かく調整する必要がなく、茶葉と水を入れて冷蔵庫で抽出するだけで作れます。
お湯で淹れる場合と比べると、抽出中の急激な味の変化が起こりにくいため、初めての方でも比較的作りやすい方法です。
ただし、味の濃さは茶葉の種類、量、抽出時間によって変わります。最初は基本の分量で作り、好みに合わせて少しずつ調整していきましょう。
急須や氷を使う3つの作り方!時短から本格的な氷出しまで
ボトルでじっくり作る方法以外にも、急須や氷を使うことで、異なる味わいの冷たい緑茶を楽しめます。
すぐに飲みたい時は急須での水出し、香りを楽しみたい時は急冷法、濃厚な旨味を味わいたい時は氷出しと、好みや時間に合わせて使い分けてみましょう。
時短で楽しむ:急須での水出し
少量だけ作りたい時や、ボトルで数時間待てない時には、急須を使った水出しがおすすめです。
急須に茶葉5~8グラムを入れ、冷たい水を200~300ミリリットル注ぎます。5~10分ほど待ったら、湯のみやグラスへ少しずつ均等に注ぎ、最後の一滴まで注ぎ切りましょう。
短時間で抽出するため、ボトルで作る場合よりも茶葉を多めに使用するのがポイントです。味が薄い場合は、抽出時間を少し延ばすか、茶葉の量を増やしてください。
氷を入れたグラスへ注ぐ場合は、氷が溶けることを考え、少し濃いめに作ると味が薄まりにくくなります。
香りを楽しむ:急冷法(オンザロック)
爽やかな香りを楽しみたい時は、お湯で濃く淹れた緑茶を氷で一気に冷やす急冷法がおすすめです。
急須に茶葉5~8グラムを入れ、70~80℃程度のお湯を100~150ミリリットル注ぎます。30秒~1分ほど抽出した後、氷をたっぷり入れたグラスへ注ぎ、軽く混ぜて冷やします。
水だけで抽出する方法とは異なり、お湯を使うことで香りが立ちやすく、適度な渋味を含んだ、すっきりとした味わいに仕上がります。
お湯の量が多すぎると氷がすべて溶けて味が薄くなるため、通常より少ないお湯で濃いめに淹れるのがコツです。
急須でじっくり楽しむ:氷出し
茶葉の旨味をじっくり味わいたい時は、急須や宝瓶を使った氷出しがおすすめです。
急須または宝瓶の底に、玉露、かぶせ茶、上級煎茶などの茶葉を5~10グラム広げ、その上に氷をのせます。急須ごと冷蔵庫に入れ、氷がゆっくり溶けるまで1~3時間ほど待ちます。
氷が溶けたら、茶葉が湯のみに入らないよう、少しずつゆっくり注ぎます。最後の一滴まで注ぎ切ることで、濃さが均一になりやすくなります。
非常に低い温度で時間をかけて抽出することで、渋味や苦味が穏やかになり、茶葉が持つ濃厚な旨味を感じやすくなります。
氷出しは一度にたくさん飲む方法ではなく、少量をゆっくり味わう淹れ方です。抽出中は常温に長時間置かず、冷蔵庫の中で保管してください。
急須での水出し、急冷法、氷出しには、それぞれ異なる魅力があります。日常的な手軽さを重視するなら急須での水出し、香りを楽しむなら急冷法、特別な一杯には氷出しがおすすめです。
水出し緑茶に適した茶葉と水の選び方
水出し緑茶の味わいは、淹れ方だけでなく、使用する茶葉と水によっても変わります。目的に合わせて茶葉を選ぶと、好みの一杯に仕上げやすくなります。
水出しに使いやすい茶葉の選び方
手軽に濃い色と味を出したい場合は、深蒸し煎茶が使いやすいでしょう。
深蒸し煎茶は、通常の煎茶よりも長く蒸して作られるため、茶葉の形が細かくなっています。低温でも比較的短時間で色や味が出やすく、濃い緑色とまろやかな味わいを楽しみやすいのが特徴です。
爽やかな香りとすっきりした味わいを楽しみたい場合は、一般的な煎茶もおすすめです。水出しにすることで渋味が穏やかになり、食事にも合わせやすい冷茶に仕上がります。
濃厚な旨味を楽しみたい場合は、玉露やかぶせ茶、上級煎茶を選びましょう。低温でじっくり抽出することで、旨味や甘味を感じやすくなります。特に氷出しとの相性がよく、少量をゆっくり味わいたい時に適しています。
手軽さを重視する場合は、水出し用のティーバッグも便利です。茶葉を計量する必要がなく、ボトルに入れて水を注ぐだけで作れます。抽出後の片付けも簡単なため、毎日の水分補給やマイボトル用にもおすすめです。
水選びのポイント
日本の水道水は一般的に軟水であるため、水出し緑茶にも使用できます。水道水のにおいが気にならない場合は、そのまま使用しても問題ありません。
カルキ臭などが気になる場合は、浄水器を通した水や、一度沸騰させてから十分に冷ました水を使用すると、お茶の香りを感じやすくなります。
ミネラルウォーターを使用する場合は、軟水がおすすめです。硬度の高い水を使用すると、お茶の色、香り、味わいが変化し、茶葉によっては渋味や濁りを感じる場合があります。
ただし、水道水を使用する際に、必ず長時間沸騰させなければならないわけではありません。使用する水のにおいや味を確認し、必要に応じて浄水や煮沸を行いましょう。
水出し緑茶に含まれる成分の特徴
水出し緑茶には、テアニン、カテキン、カフェインなど、緑茶由来のさまざまな成分が含まれています。
ただし、水出し緑茶を飲むことで、特定の病気を予防できたり、特定の健康効果が必ず得られたりするものではありません。毎日の食事や水分補給の一部として、無理のない範囲で楽しみましょう。
旨味に関係するテアニン
テアニンはアミノ酸の一種で、緑茶の旨味や甘味に関係する成分です。
低温でも比較的溶け出しやすいため、水出し緑茶では、テアニンをはじめとするアミノ酸由来のまろやかな味わいを感じやすくなります。
一方で、食品として水出し緑茶を飲むだけで、リラックスや集中力の向上などの効果が必ず得られるとは限りません。味わいや香りを楽しみながら、日常の飲み物として取り入れましょう。
水出し緑茶にも含まれるカフェイン
低温で淹れると、お湯で淹れた場合と比べて、カフェインの溶出量が抑えられる傾向があります。
ただし、水出し緑茶にもカフェインは含まれています。カフェインがなくなるわけではないため、「夜に飲んでも睡眠に影響しない」とは言い切れません。
カフェインに敏感な方、妊娠中や授乳中の方、就寝前に飲む方は、飲む量や時間帯に注意してください。カフェインをできるだけ控えたい場合は、カフェインレスの商品や麦茶なども選択肢になります。
カテキンなどの緑茶成分
緑茶には、EGCやEGCGをはじめとする複数のカテキンが含まれています。
低温で抽出すると、渋味の強いEGCGの溶出が抑えられやすく、比較的渋味の弱いEGCの割合が高くなることがあります。
作った水出し緑茶の日持ちは?保存方法と注意点
水出し緑茶は、加熱せずに作るため、使用する容器や茶葉を清潔に保ち、できるだけ早く飲み切ることが大切です。
特に気温が高い季節は、作った後の保管方法にも注意しましょう。
飲み切るまでの目安
作った水出し緑茶は冷蔵庫で保存し、できるだけ当日中、遅くとも24時間以内を目安に飲み切りましょう。
清潔な容器で作った場合でも、2~3日保存できると考えず、毎日飲む分だけを作るのがおすすめです。
一度口をつけたボトルは、口から雑菌が入りやすくなります。持ち歩いた水出し緑茶は冷蔵庫へ戻して翌日に飲まず、その日のうちに飲み切ってください。
避けたい保存方法
完成した水出し緑茶を、常温に長時間置いたままにするのは避けましょう。作った後はすぐに冷蔵庫へ入れ、低い温度で保管してください。
持ち歩く場合は、保冷できるボトルを使用し、高温になる車内や直射日光の当たる場所に放置しないようにしましょう。
前日に残ったお茶へ、新しく作った水出し緑茶をつぎ足すことも避けてください。残ったお茶は処分し、容器をよく洗ってから新しく作りましょう。
飲まない方がよい状態
酸っぱいにおいがする、普段とは異なる濁りがある、とろみや糸を引くような状態が見られる場合は、飲まずに処分してください。
ただし、食中毒の原因となる菌が増えていても、見た目やにおいに変化が出ない場合があります。
見た目やにおいに異常がなくても、常温で長時間放置したもの、作ってから24時間以上経過したもの、保管状態がわからないものは飲まないようにしましょう。
容器の衛生管理
ボトルや冷水ポットは、使用するたびに洗剤でよく洗い、十分に乾燥させてください。
パッキン、注ぎ口、フィルターなどは、茶渋や汚れが残りやすい部分です。取り外せる部品は外して、隅々まで洗いましょう。
必要に応じて、容器の取扱説明書に従い、酸素系漂白剤などを使用して定期的に除菌するのもおすすめです。
熱湯消毒を行う場合は、容器が熱湯に対応しているかを必ず確認してください。耐熱性のないボトルへ熱湯を注ぐと、変形や破損の原因になります。
水出し緑茶は、茶葉と水を入れるだけで手軽に作れる飲み物です。水1リットルに茶葉10~15グラムを目安に、冷蔵庫で3~6時間ほど抽出し、好みの濃さになったら茶葉を取り出しましょう。
低温でじっくり抽出することで、渋味や苦味が穏やかになり、茶葉本来の旨味や甘味を感じやすくなります。
手軽に作りたい場合は深蒸し煎茶や水出し用ティーバッグ、爽やかな香りを楽しみたい場合は煎茶、濃厚な旨味を味わいたい場合は玉露やかぶせ茶がおすすめです。
作ったお茶は必ず冷蔵庫で保管し、できるだけ当日中、遅くとも24時間以内を目安に飲み切ってください。茶葉の量や抽出時間を少しずつ調整しながら、自分好みの水出し緑茶を見つけてみましょう。